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魔女の寿命は長い。
身に備わった魔力が永い永い時を与えてくれるのだ。
だから自ら死を選ぶというのは、そう珍しいことでもない。私の知り合いにもそういう選択をした魔女はいる。
「好きな人が出来たんだ!」
魔女コーネリアは昔、照れくさそうに報告しに来た。桜色の髪が常に放出される魔力によって揺れる、とても力の強い魔女だった。
「この歳で笑っちゃうけど、でも、一目惚れなんだ」
「おめでとう。あなたが嬉しそうだと、私も嬉しい。どこで出会ったの?」
「それが~、人の街で、ね」
人の街。人の住む街。
「それって……」
「そう、相手人間なんだ~!この私が人間に一目惚れ!びっくりだよね~」
晴れやかに笑うコーネリア。しかし私は同じように笑うことは出来なかった。人に恋をした魔女が取る行動は、大体決まっている。
「そう……だから報告しに来たのね」
「うん。私はこの寿命を手放すよ」
人と魔女では経過する時間の流れがまったく違う。恋をした魔女は選ばなくてはならない。恋を諦めるか、生を諦めるか。寿命を縮める方法は色々とある。だから不可能ではない。簡単でもないけれど。
人生の中で、何を大切にするかの問題なのだ。一緒に過ごす人なのか、何を成したかなのか。
あれ以来、コーネリアには会っていない。
もう寿命を迎えたのかもしれない。それは、魔女である私には分からない。私の時間の中ではほんの一瞬の出来事だから。
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