1/2

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

もうすぐ夏休みに入りそうな7月初め、私の住む県では珍しい程雨が降り続いた。 その雨はやがて、複数ある一級河川どれをも脅かし、ついには支流の川2本が決壊した。 被害のなかった私達が、そんな現実を知ることになるのは、翌朝。 近所の人たちと無事を確認して、いつものように長話をしていた時に、河川を挟んだ向こう側が水没したことを知った。 深夜に派手に工場が爆発した場所も、爆発まえから徐々に水没していたらしいと聞いた。 そして、その町の隣に位置する地域は、更にとんでもないことになっていた。 その地域は、テレビで連日報道されていたので様子はよく分かったが、もう1つ決壊した支流のある 、県庁所在地のある市の一番端の地域も、広域で一階が水没していた。 この一件でおそらく誰もが、身内・友人・同僚等の知り合い、いづれかに被災者がいるという悲劇が起こった。 実は、床下浸水や床上浸水をした地域は県南には多々あり、そのどの地域も一級河川の支流の川が氾濫し、道と同化して土色に濁り流れていた。 雨が上がった次の日は、自分の住む地域から出るのは何処を通っても困難になった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加