第一章 闇夜の烏(カラス)は黒いのか? 

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「寒河江、現世に行かないか?」 「……僕は生きていない。僕は生きていない……」  寒河江を誘うと、押し入れから消え入るような呟きが聞こえていた。 寒河江は、仕事があると正気になるが、まだ、何も無い時は引き籠もりのような状態であった。 俺は押し入れからメンバーを出す事が出来ないので、寒河江が自発的に出て くるのを待つしかない。 でも、その時がいつになるのか、予測もつかない。 「時任さん……仕事がありますよ」  時任を呼ぶと、転がるように甲斐が出てきた。 甲斐は、体調を崩しているが、死保の中ではどうにか動く事ができる。 現世でも、甲斐の恋人である、織田の家では動く事ができた。
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