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死保の中は、本来は音が無いのだが、今はせわしなく動く興梠が、カチカチと
音を立てていた。
興梠は電卓で計算すると固まり、今度はソロバンで計算をしてから唸り、
又、電卓で計算していた。
俺が興梠のノートを覗こうとすると、興梠の手に捕まって、カーテンに向かって
投げられていた。
「市来。邪魔!」
部屋が四畳半と狭いので、死保のメンバーは仕事が無い時は、押し入れに格納されている。
しかし、俺は押し入れに入る事ができなかったので、小型化して部屋に留まっていた。
「興梠さん。痛いですよ!」
俺の身長は二十センチメートルほどで、容易に掴んで投げられる大きさなのだ。
俺は、カーテンを滑り降りると、再び炬燵に登り始める。
すると、興梠が又、俺を投げ捨てていた。
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