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初めての授業の日、
「何か質問ある人ー?」
自己紹介をしている香川先生は目をキラキラさせて私たちに投げかけた。
隣の席で親友の川上 ひかる(かわかみ ひかる)は私に聞いて来た。
「ねぇ。あの人、彼女いるのかなぁ?」
その瞬間だった。
「お?住田さん。何かある?」
なぜか私が聞かれてしまった。
目立ちたくないのに。
みんなの視線が私に集まる。嫌だ。
「あの、私じゃなくて、川上さんが…」
「川上さん隣の子かな?」
「私でーす!先生彼女いますかー?」
「でた。みんなその質問好きだなぁ。彼女はいません。でも。好きな人はいます。」
「えー!誰々?」
「それは秘密です。」
少しだけ頬を赤らめる先生。
生徒に何言ってんだよ。
私は先生にイラついていた。
このクラスではうまくやりたいって思っているのに、あんなに悪目立ちして。
みんなキャーキャー言ってるけどそんなに言うほど?かっこいい?
別に少し背が高いだけ。そして若いだけだ。
女子校にいるからみんな感覚がおかしくなっているのだ。
きっとその好きな人に見向きもされていないのだろう。
みんなが笑う中私は一人、静かにしていた。
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