月光

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「わたしに話しかけてくるなんて、久しぶりだね。いつ以来だろ?」 「さぁーな。もう忘れたよ。まぁもっとも、お前がここに年中来てるのは知ってるけどな。」 「……なによそれ。まるでわたしのストーカーみたいじゃない?」 「ストーカーは言いすぎだろ。逮捕できるものならしてみろってつーの。」  久しぶりの会話で、わたしはなんだか楽しい。月のこととか、思わず忘れてしまいそうになっていた。  でも考えてみたら彼もわたしと同じ、中学三年生のはずなんだよね。だから逮捕しようと思えばできちゃうのかもしれない。  まぁこいつの場合、神出鬼没だし、そもそも普段どこにいるのかもよくわからないし……  そして、次にいつ会えるのかもわからないし。  いっそのこと、本当に逮捕されちゃえばいいのに―― 「……あ。『イジワル』って言葉、ひょっとしてここの神様にも聞こえちゃったかな?」 「えっ…………?」  彼の言葉に反応して、わたしはもう一度空を見上げた。  すると丸いお月様が雲の間からくっきり、その姿を現していた。  本当に、ここの神様に会話を聞かれちゃったのかもしれない。
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