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「神様といえばさ、明日美、さっきもここで願い事してただろ?」
「うん……。」
「しかもいつもと同じように、自分のことではない、他人事のような願い事。」
「ちょっと。願い事の内容まで聞いてるの!? このストーカー!!!」
彼はくすくす笑っている。ほんと、今すぐ警察に突き出して逮捕してやりたい気分だ。
「お前ってさ、本当に月みたいなやつだな。」
「月…………?」
唐突にわけのわからない喩えを出されたので、わたしの頭は急にぽかんとしてしまった。
「だって、お前もう受験生だろ? 受験生だったらこういう神社での願い事って、決まってるようなものじゃないのか? ……俺は知らねーけど。」
「どうなんだろ。わたしってあまり受験生って自覚のない、ダメダメ受験生ってことじゃないかな?」
わたしは笑みをこぼしながら、そう答えた。
言われてみると、受験生って自覚が足りないよね、今のわたし。なるようになればいいとか、結果がどうであろうとそんなのわたしの問題だし。だからわたしはただ、本来向き合うべき事の重大さが理解できてないだけかもしれない。
そんなこと真正直にこいつに言ったら、とても失礼だし、怒られると思う。それも重々自覚しているつもりではあるけれど……。
「でも、それと月って、どう関係あるの?」
彼は月をもう一度見上げる。
その月に語りかけるように、彼はこう答えた。
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