真夜中の攻防戦

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その物体は拳銃だったからだ。 モデルガンかもしれないけど、本物の可能性もある。 僕の身を守るものだとクロッカスは言っていたから……本物かもしれない。 拳銃を使うくらい危険なことがあるのか? でも、本物の拳銃は日本では使うのは警官がよほどの緊急事態じゃないと認められないし、一般人が拳銃を所持をするなら、警察にきちんと届出をして受理されないと所持はできなかったはず。 玩具の拳銃なら子供の時に弾を込めずに引き金だけ引いて遊んでいたけど、今手にある拳銃はずっしりとした重みを感じて、安易に引き金が引けるものではないと僕に伝えてくるようだ。 これを枕元に置いて眠るなんて、銃とは無縁の僕にはできない。 拳銃を見て既に眠気は吹っ飛んでいた。 心臓は痛いくらいバクバクしていて、これが現実なんだと教えている。 初めて自分がとんでもないことに巻き込まれたんじゃないかと真剣に考えて、急に寒気を感じて両手でギュッと身体を抱き締める。 怖くてまともに拳銃を見られない。 全身が震えているせいか、呼吸も震えていて、上手く息が吸えない。 落ち着こうと思っても、どうしても拳銃の存在がチラついて落ち着けない。
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