真夜中の攻防戦

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どれくらい経ったのか分からないけど、僕は同じ姿勢のまま、悶々としているのに、少しだけうとうとしていた。 いくら考えても答えは出ないし、何度も視点を変えての考察も全て堂々巡りで何も明確な答えはなかった。 きっと僕の脳も考えることに飽きてしまって、ごちゃごちゃ考えるより寝た方がいいと判断して、僕を眠らせようとしているのかもしれない。 しっかりベッドの布団に入って眠って疲れを取った方がいいかな? 拳銃は怖いけど、よほどのことがない限り暴発はしないと思う…思いたい。 ベッドで寝る体勢を取ろうと足を伸ばすと、伸び特有の微かな痛みで、どれだけ同じ姿勢でいたのか、少し笑ってしまう。 軽く全身の伸びをして、眠ろうとした時に不意に部屋のドアが開かれた。 「旦那様!」 「クロッカス、どうしたの?凄く慌てているみたいだけど…」 「この邸に侵入者です。拳銃を持ってお逃げください。キッチンの奥に食料貯蔵庫になっている部屋があります。そこに地下を通って邸の敷地の外に通じる道があります。それを使ってお逃げください」 口を開いても言葉が何も出ない。 言葉全部を発音ごと忘れたかのように出ない。
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