真夜中の攻防戦

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「侵入者はこの部屋を目指してやってくるはずです。旦那様が逃げるまでの時間は私が稼ぎます。旦那様はとにかくご自分の安全を第一に考えてください。階段までは私が護衛しますが、多分階下で侵入者を迎撃することになります。けれど、決して旦那様に危害が及ぶ…」 クロッカスの言葉を遮るように、二ヶ所でそれぞれ窓ガラスの割れる音がした。 もしかして、侵入者は二人以上ってこと? 「外にもいるのか…。まずはここを出ます。靴を履いて、拳銃を持って…大丈夫ですから。私が必ず御守り致します」 こくっと小さく頷いて、靴を履き手に銃を持って部屋を出る。 二階の廊下は広い吹き抜けでロビーが見えるのだが、既に二名の怪しい男性が辺りを見回している。 警戒しているみたいで、住人となった僕の方が見つかったらどうしようと不安になる。 クロッカスも侵入者の動きを見ながら、予測を立てているように見えて、声をかけられる状態ではなかった。 「おそらく彼らは最短距離で、ロビーから玄関に近い階段からくると思われます。この廊下をずっと進むともう一つ階段があるのが分かると思いますが、あちらが安全にキッチンまで行けるルートで、ロビーを通らずキッチンに行けます。少し急ですが手すりはあるので大丈夫かと」
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