真夜中の攻防戦

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けど、僕に人を撃てるのか? しかも人質を確実に避けて撃てるのか? 彼女を盾にされたら、彼女を殺してしまうことになる。 「もしかして、お前が当主か?ここの占拠もお前を殺すのも簡単そうだな。怖いなら逃げた方がいいんじゃないのか?」 相手の嘲笑を含んだ言葉に、ハッとした。 僕はここの当主なら逃げるワケにはいかない。 クロッカスもスタッフさん達も、血の繋がりはないけど、たった一ヶ月でも大切な家族だ。 家族を守るのが当主の僕が唯一できることだ! そう思うと身体の震えが止まって、バクバク言ってた心臓もいつも通りの鼓動に戻っていた。 頭の中もクリアーになって、冷静に考えられるようになった。 拳銃の構えは解かずに、何とか彼女を救うことだけを考える。 ………音だ!音を出すんだ! 拳銃だけじゃなくて、銃器なら発砲音があるはず。 遠くでは乾いた破裂音でも、近くならかなりの音になるはず。 確か警察の射撃訓練でヘッドホンみたいなのをしているのをテレビで見たことある。 多分、ヘッドホンで防音をしているはず。 そして今まで通ったルートを思い出して、瞬時に手すりの間を階下に向けて発砲した!
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