真夜中の攻防戦

14/14
前へ
/49ページ
次へ
さっきまで張り詰めていた空気は何だったのかと思うほど、今は穏やかで和やかで静かな時間に戻っている。 先生を敷地の外まで見送ってから、家の中に入った時点で座り込んだ。 クロッカスがすぐに支えるようにして抱き締めてくれた。 「ごめんね、こんなところで座り込んじゃって。かっこ悪いな…」 「旦那様、ご無事で何よりでした。そして、拳銃の使い方も、あの状態で正確な使い方だったと思います」 「そうなの…?」 「ええ、よく手すりの間から、階下に向けて撃ちましたね。相手に手傷を負わせる目的で発砲していたら、銃弾が旦那様に跳ね返る危険が高かったと思います」 「僕は射撃訓練なんてしたことないから、助けるにはどうしようって考えたら、銃声が一番効果があるかなって…」 そう言葉を返しながら、僕は重たくなってきた瞼を持ち上げる気力はなく、そのまま深い眠りに落ちて行く。 「おやすみなさいませ」 耳に響いたのは優しいクロッカスの声だった…。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加