学園内も危険がいっぱい!?─予兆─

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お腹にグッと重たくて黒いもやもやが溜まっていきそうな感じがして、クロッカスから視線を逸らす。 彼から視線を逸らしても何も変わらないのも、彼が悪いワケじゃないのも分かってる。 僕だけが覚悟ができてないから。 「……とにかく登校のご用意を。学園の敷地内にいて、遅刻をしては話になりませんよ♪」 努めて明るい声を出して、クロッカスは部屋から出て行き、階段を軽やかに下りる音が聞こえる。 ワザと足音を立てて、僕から離れたと教えているんだろうな…。 全然ダメだな僕は。 またクロッカスに嫌なことを押し付けて、自分は被害者だって顔をして…。 クロッカスだって色々我慢しているはずなのに…。 登校する気分にはなれなかったけど、実習期間中に休むとレポートの提出に支障が出ると思い、仕方なく制服に袖を通す。 部屋にある豪奢なドレッサーの鏡に映る僕は冴えない顔をしていて、そんな姿を映さなければいけない鏡が気の毒に思えてしまう。 軽く髪を整えようと思ってブラシを探したけど、ドレッサーの中にしまわれているのか見当たらなくて、総当たりの覚悟で引き出しを開けることにした。 意外と引き出しが多いな…。
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