学園内も危険がいっぱい!?─予兆─

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最初に開けた引き出しに一番見たくないものが入っていて、僕の全身を緊張させる。 それは夜に使った拳銃…。 酒見先生を助けた後はどこにやったか分からなかったけど、僕を運んだ後にクロッカスが見付けて、引き出しにしまっておいたのだろう。 拳銃を見て、全て夢で片付けられないのだと改めて知る。 理解できなくても、肌で感じろと言うのだろうか? その黒光りする銃身を見たくなくて、引き出しをそっと閉めた。 何も考えたくなくて、鞄を引っ掴んで靴を履いて、ロビーを突っ切って、洗面所で歯磨きと顔を洗って、朝食を取らずに玄関に向かう。 とてもじゃないけど、朝食を食べる気分にはなれない。 「旦那様!朝はきちんと食べてくださいね♪」 いきなり腕を掴まれて振り向かされると同時に、口に野菜とハムを挟んだサンドイッチを押し込まれるようにして食べさせられる。 やっぱりクロッカスには敵わない…。 僕の些細な反抗も簡単にかわしちゃうんだもんな。 もぐもぐと口を動かし、サンドイッチを飲み込むと少しささくれ立った気持ちがおさまった。 「お味はいかがですか?」 「…うん、美味しかった」 「お口に合ってよかったです。旦那様の好き嫌いが把握できていなかったので、少々不安だったのですが」
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