学園内も危険がいっぱい!?─予兆─

6/13
前へ
/49ページ
次へ
主に女子が騒いでるみたいだけど、そんなに凄いことでも起こってるのかと、席を立った時だった。 「旦那様!」 「えっ、クロッカス!?」 僕のことを「旦那様」と普通に呼ぶのはクロッカスしかいないワケで、みんなの視線が一斉に僕に注がれて、恥ずかしいよりも気圧されてしまう。 「う…」 いたたまれない気持ちになって、急いでクロッカスの元に走り寄る。 「どうしたの?もしかして朝のこと…怒ってる?」 「いえ、そのことは全く気にしておりませんよ。ただ、お伝えしておかなければいけないことがありまして」 「え?」 クロッカスが僕の耳に手と口を寄せて内緒話でもするように囁きかける。 「学園内では私が御守りすることができません。くれぐれも気を抜かれないようになさってください。実習中は常に危険がつきまとうとお考えください」 バッとクロッカスの方を向いて、言葉は出なかったけど、じっと目を見つめる。 それしかできることがなかった。 「そういうことですので。後、よろしければお食べください」 そう言って、下の方が長方形に膨らんだ巾着を僕の手に持たせると、爽やかな笑顔で外国の物語の貴族がしそうな礼をした後は、周りの目を気にすることなく、執事科へと帰っていった。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加