学園内も危険がいっぱい!?─絶体絶命の中の信頼─

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正直賭けだった。 けど、朝になれば解放せざるを得ないだろう。 美術室なら、授業で使うだろうし。 (大人しくしていれば、逃げ出すチャンスが生まれるかもしれない…!) じっとしていたら、そのまま寝てしまっていたみたい。 手も身体も縛り付けられているのに暢気だな僕…。 窓から見える月がかなり高い位置にあるから、深夜かもしれない。 音を立てないようにして、辺りを見回すけど、誰もいないみたいだ。 部屋の端の方で何かが光っていると思ったので、何とか椅子ごと動いて移動してから、よく見てみると、壊れたキャンバスから出ている釘だった。 (釘で縄って切れるかな?) 何とか釘に手の縄を擦り付ける。 時々、釘が手に当たるけど、痛がっている暇はない。 焦る気持ちを何とか押さえつけて、釘に縄を擦り付けた。 ガチャン! 大きな音がして、その場から動けなくなる。 音だけじゃ分からないけど、ここの鍵が閉められたのか開けられたのか…。 もし、さっきの人が戻ってきたとしたら? どうしよう…。 「クロッカス…助けて…」 無意識に呟く。 自分で何とかしなくちゃダメだと分かっているのに…。 美術室のドアが開いて、そこに走り込むようにして入ってきたのは…。 「旦那様!」 「クロッカス…!」
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