学園内も危険がいっぱい!?─絶体絶命の中の信頼─

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「うん、それでいいよ」 部屋にクロッカスがいるだけで落ち着く。 今は一人になりたくない…夜のことを思い出してしまうの嫌だから。 色々ととりとめのない話をして、僕はクロッカスの話に引き込まれていた。 ありきたりな昔話もクロッカスの解釈が入ると、とっても面白くて何度か笑ってしまった。 「では、ご学友の方だったのですね」 「だと思う。弓削の名前は凄く珍しい名前だから、弓削で間違いないよ。でも…何で?」 「情報が少なすぎますので、不確かなことは言えませんが、旦那様を拘束した男は、本職の執事であり、格闘技などもしているのでしょう。質問に答えないのは、主人の素性を知られない為ですが、今回はボロが出ましたね」 「あ、弓削の名前出しちゃってる…」 「…取りあえずお休みください。何か食べられそうなら、軽食をお持ちしますよ」 「ちょっとまだ食べられないかも。あ、でも、ココアが飲みたいかな」 「すぐにお持ちしますね」 クロッカスが部屋から出て行くと、静寂が襲ってくる。 さっきは「側にいてほしい」だったのに、「ココアが飲みたい」って、小さな子供みたい。 ワガママがすぎる。 今日も弓削は学校に行って、みんなと笑っているのかな? 弓削の知らない一面が見えたような気がして、小さく震えた。
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