弓削譲之丞

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そんなお前に触れる度に、俺は普通の家庭の子供だって思えた。 だから、いつも馬鹿笑いできた。 だけど…お前が執事実習で、お前の担当になったクロッカス…あいつは、あいつの家だけは、弓削家全部で潰さないといけないんだ。 そして伊月…お前の家の英井家も弓削家の敵なんだよ。 俺は普通の奴になれたと思っていたけど、やっぱり弓削家の人間だった。 小さい頃から、弓削家に敵対する家も有力者、権力者は徹底的に教え込まれたから、英井家も黒澤家とフォレスター家が筆頭だ。 黒澤家はクロッカスの母親の実家で、フォレスター家はクロッカスの父親の実家で爵位も持っていた名家…最初はクロッカスと聞いて、よく分からなかったけど、素性が分からないように偽名を使っているということだな。 間違いない"セイ・フォレスター・クロサワ"だ。 いつかは対峙する相手だけど、今はほっとくか…関わると面倒だしな。 「失態をおかしておきながら、よく俺の前に顔を出せたな」 「申し訳ございません」 「俺の名前を出すなんて有り得ないだろう。自分の名前は隠して、主人の名前を出すなんて…使えないな」 俺の信頼を裏切った部下の石村(イシムラ)。 一番俺の為に働いてくれた。 だから、働いたことに関しては、それに見合った報奨を与えるべきだ。
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