弓削譲之丞

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「石村、お前は確か田舎に母親が一人で暮らしているんだろ?しばらく休みをやるから、親孝行でもしたらどうだ?」 「譲之丞様、私の母は昨年…」 「だから親孝行だ。一人で死出の旅は淋しいはず。そしてお前のことも案じているなら、お前が母の側に行けば全て解決する。家族は大切だろう?」 「譲之丞様…」 「お前は俺の手をお前の血で汚せと言いたいのか?自分で自分の後始末をつけろ。俺や俺の暮らす場所を血で汚すことは許さない。人知れず誰にも見つからない場所で黙って死ね。ご苦労だった」 これで石村がどうするかは自由だ。 たぶん死ぬだろうが。 だが、伊月に僅かなりとも情報を与えている…このミスが後々大きな影響を与えることを何故分からなかったんだ? 伊月が分からずとも、クロサワの方がすぐに気付くはず。 俺はもう引くに引けない…後ろには弓削家という崖しかない。 普通になんかなれない。 それでもお前は俺を友達だと思って、笑ってくれんのかな、伊月…。
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