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「確かに外部からなら侵入はできないでしょう。しかし学園の敷地内や学園関連の施設なら、学園に関わる人物なら、誰でも不審者で侵入者になり得るのです。実習期間中は常に危険と背中合わせと考えていただけると助かります」
「危険と背中合わせ…。それって…命を狙われるワケじゃないよね?」
本当はそんなこと訊かなくても答えは分かっていた。
だからクロッカスに尋ねるフリをして、自分に言い聞かせていただけなんだ。
「命を狙われる危険性のものばかりだと思っていただいて結構です。もちろん私が全力で旦那様を御守り致しますが、旦那様は何があってもご自分の身の安全を第一にお考えください。自己犠牲は最も愚かな選択だと心に留め置いてくださいね」
どう言葉を返せばいいんだろう。
危ないから身の安全を第一に考えるのは分かるけど、でも目の前で他の人が危険な目に遭っていたら、少しでもいいから助けたいって思うじゃないか。
困ってる人を見捨ててまで自分の安全を考えるような人間にはなりたくない。
クロッカスが僕を全力で守るなら、僕は身近な人を全力で守りたい。
それがクロッカスであっても守りたい。
その考えを実行することになるのは、この後にあるなんて今の僕には分からなかった。
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