真夜中の攻防戦

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「ええ、少し乱視の傾向があるので、それを矯正する眼鏡で度は入っていないんですよ。かけてみますか?」 「い、いいよ!」 僕がかけてもクロッカスみたいなイケメンになれるとは思わないし…。 「そろそろ休もうかと思ってるんだけど…」 「そうですか。では、旦那様の自室のベッドのサイドテーブルの下に取手が付いた小さめの棚があります。その中に旦那様の安全を守るものが入っています。それを必ず枕元に置いてお休みください」 「うん、分かった。おやすみなさい」 「おやすみなさいませ」 自室に向かうまでに何度も欠伸を繰り返してしまい、早くベッドに入りたかった。 きっとベッドの布団も枕もふかふかで、マットレスも高級品を使っているのかもしれないと思うと、早く寝たくて堪らなくなる。 自室に入って、一直線にベッドめがけて走って、勢いよくダイブする。 思った以上に心地よいふかふかで、これだけで執事実習に参加してよかったなと思えるほどだ。 ふかふか具合を堪能していて、ふとクロッカスに言われたことを思い出して、ベッドサイドテーブルの下の戸棚を開ける。 何か黒くてゴツゴツした感じの物体がある。 そっと手に取って、その物体の正体に息が止まりそうになった。
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