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その翌日の朝のことだった。
いつものように、目が覚めて、早朝の暑さにうんざりしながら、Tシャツの襟でパタパタと扇いでいた。
「え……?」
私は、その光景を捉えた瞬間、びっくりして体が硬直した。あまりに驚きすぎて、悲鳴すらあげられなかった。
寝室に、見知らぬ男が立っていたのだ。
「え、ちょ……あなた、誰!?」
その男は、壁に寄りかかり、腕を組んで、じっとこちらを見据えていた。
騒ぎ立てる心をなんとか落ち着かせて、男の顔をもう一度じっくり観察する。が、やはり、見覚えがまったくない。
一体どこから入ってきたのか? 強盗目的? それとも――
「あのー、ごめん。そんなに怖がらないで」
(――し、喋った!)
「ごめん。アンタの部屋、勝手に侵入して」
いや、謝るぐらいなら勝手に入ってこないでよ、と思わず心の中でツッコミを入れる。
未だビビってベッドの上で動けない私に、男は困ったな、とため息をついた。
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