私が先輩に惚れるまで

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私には、もうかれこれ半年ほど解決に至らない悩みがある。 それは “好きな人に、近付けない” というものだ。 言葉だけ聞けば、何とも可愛らしい、いかにも乙女心に溢れた恋のお悩みに感じられるかもしれないが 私にとっては、死活問題なのである。 私の片思いの相手は、同じ高校の黄瀬(きせ) (わたる)、という、一つ年上の先輩だ。 渡先輩は、学内でも女子からの人気が絶えないモテ男だ。 まず顔がイケメンだ。くっきり二重に高い鼻。爽やかな黒髪短髪。おまけに背も高い。 彼のそのビジュアルだけでも女子が惹かれるのには十分だが、最大の人気の秘密は、その性格の良さにある。 明るくて朗らかなクラスのムードメーカーで、男女問わず友達が多い。もちろん、先生にもウケがいい。 うちの高校の現生徒会長も、渡先輩なのだ。これも生徒からの推薦と、在校生の圧倒的支持により決まった。 おまけに彼はよく人を褒めるらしい。しかも、その人がいないところで別の友人にその当人に対する褒め言葉を繰り出すのだから、善人中の善人であることが伺える。 そして、彼の爽やかで飾らない笑顔に、女子は恋に落ちるのだ。 渡先輩に想いを寄せる女子は腐るほどいるが、私もそのうちのひとりだ。
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