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喫茶『こんぺいとう』 初来店
次の朝、杏菜は緊張をした顔で学校に行った。
私と約束したから守らなければいけない。
決して「行きたくない」と口にしない娘を見送りながら、
『頑張れ』
と心の中でエールを送りながら、娘の生真面目さが心配でもあった。
杏菜が学校に行ってしまうと、頭の中は娘のことでいっぱいになっている。
学校で嫌な気持ちになっていないだろうか?
独りぼっちになっていないだろうか?
先生は上手くやってくれているだろうか?
杏菜が楽しく過ごせますように。
祈る様な気持ちでいた。
瑞穂は家事も手につかず、家に居る事さえ耐えらなくなり外へ出た。
今、旦那は単身赴任中。夕飯などは2人分でいいし、駅前のスーパーで何かお惣菜でも買ってきてしまおう。
そう思って駅へと向かう。
丁度小さな公園を通りかかったとき、ふと近くにあるお店に目が行った。
喫茶『こんぺいとう』
そのお店の看板は木で作られていて、「こんぺいとう」みたいに甘くて可愛いイメージと遠く感じる。
こんな所に喫茶店なんてあったっけ?
店からはコーヒーのいい香りがふわっと瑞穂の所にやってきた。
ここでコーヒーでも飲んで気持ちを落ちつかせよう。
瑞穂は自然とそう思って店に入っていった。