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「きっかけは黒川さんだけど、今はこのフローリストの仕事を気に入ってるし、誇りももってる。中途半端なことしたら容赦しないよ、み・さ・き・さ・ん!」
藤中さんはようやく私の名前を呼んでくれた。
(認められたってことでいいのかな?嬉しい)
私はふふと笑って、
「頑張る」
そう言って藤中さんの後について歩いた。
「そういえば、黒川さんて何歳なの?私より年下だよね?」
「今年で25歳、3年前から彼女はいない」
「ええ!!年はいいけど、彼女がいないってどうやって調べたの?」
「ふふん、だてに片思いしていないわ。直接きいたのよ!」
「おお~すごい!」
若い子の行動力には驚かされる。
(私も若いときはそうだったもんなあ)
太一に片思いしてから、私は猛アプローチをして告白、結婚とすべて私主導だったのだ。
もうその勢いはなくなって落ち着いてしまったけれど、遠ざかった懐かしい日々をみているようで、私は藤中さんの頭をなでた。
「頑張っているんだね。えらい、えらい」
「ちょっとーまたおばさん!っていうよ。そんなことしてるから老けてみえるんでしょ!」
ぴしゃりと藤中さんに叱られる。
「なんだか懐かしくて。」
私はわらった。
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