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私達は道中で、花の話をした。
もらったナデシコの花が今日も綺麗にさいていたこと。
一番好きな花は優はオキシペタラムで、私は青バラということ。
「好きな花の色が同じだね。嬉しい」
そう言って優は優しく笑ってくれた。
そうして歩いているうちに、優の家に着いてしまった。
(本当に、進んでいいの?後悔しても遅いんだよ)
私は自分に問いかけた。
でも駄目。
心が人の温もりを求めている。
乾いた身体が水を求めているのだ。
「怖がらないで。大切にするから」
優は私の不安を感じ取ったのか、肩を優しく抱き寄せてくれた。
その手はかすかに震えている。
(不安なのは私だけではないのね)
私は背伸びして優に口づけた。
「ごめんね。弱くて。ごめんね」
涙が溢れる。それを優は優しく拭って抱きしめてくれた。
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