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「どうぞ、砂糖とミルクはここに置くね」
戻ってきた優はそう言うと、私にあつあつのコーヒーを手渡して、私の横に腰掛けた。
コクリと飲むとじんわり暖かさが浸透する。
「あったかい。優、ありがとう」
私は優の気遣いに感謝した。
「どういたしまして。」
「実はね、男の人の部屋って初めてなの。夫は実家暮らしだし、自分の部屋に他人をあげるのを嫌がる人だったから、デートは外か、私の部屋ばかりだったから・・・」
言ってからしまったと思った。
優のそばにいるのに、夫の話をするなんて、デリカシーがなかった。
すぐに謝ろうとしたけれど、
その口は優の口で塞がれて、「ごめんなさい」は言えなかった。
「俺が最初の男なんだね。嬉しいよ」
優はそう言って笑ってくれたのだ。
「嫌じゃなかった?あんな話をして」
「全然、俺は舞花の初めてになれるチャンスはないと思っていたから、こんなことでも嬉しいんだ。これからもっともっと、舞花の初めてになれるようにがんばるよ」
優はそう言って私を抱きしめる
「だめ、コーヒーがこぼれちゃう」
「そうだね、やけどしたら危ないから」
そう言って私の手からカップを抜き取ると、テーブルの上にのせた。
ふわり、身体が浮かんだと思ったら、
ものすごい早業で優の膝の上に乗せられていた。
「え・・・ええ!ちょっとこれは・・・恥ずかしいよ」
「どうして?舞花が寒そうにしてたから。俺体温高くて暖かいから、湯たんぽ」
柔らかく、優しい抱擁
優はどこまでも私を甘やかす。
「もう、優は私に優しすぎだよ?」
「好きだから、しょうがないよ」
「好きだからって・・・」
「ね?だからいい子にしてて」
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