日常

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食事を終え、食器を片付けている時だった。 ガチャリ 扉の開く音がしたかと思うと、太一が戸口に立っていた。 「え・・・今日も遅くなるって、朝言っていたよね?どうしたの?」 私は緊張でのどがからからになってうまくしゃべれなかった。 「仕事が早く片付いたから。久しぶりに家でゆっくりしたくてね。舞花、なにか食べるものある?」 太一はそう言いながらネクタイを緩めて私を抱きしめた。 「今つくる。簡単な物しかできないけど、いい?」 「もちろん。舞花は料理が上手だから楽しみにしているよ」 太一は優しく微笑んで言った。 私は抱きしめられた腕からそっと抜け出して料理を作り始めたが、触れられたところが不快で落ち着かなかった。 (優に抱きしめられたときはあんなに心地良かったのに。どうして太一だとこんなに気持ちがしずんでしまうんだろう。普通、逆だよね) 太一にあんなに触れてほしいと思っていたのに、優の熱をしってしまったから、太一の熱はもう受け入れることができなくなってしまったのか。 「舞花、今日は一緒にねようか」 太一は珍しくそう言うが、私はどうしても太一と肌を合わせる気になれなかった。 「今日は調子が良くないの。一人で寝たいから、ごめん」 そう言って、手早く料理を作り続けた。
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