293人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
私は一方的な太一の主張に嫌気がさしたが、家事をおろそかにするわけにはいかないので、食器を洗い、テーブルをピカピカに磨いてから寝室にひきこもった。
「今は太一と顔を合わせたくない・・・」
ベットにごろりと横になると、今日の出来事がまざまざと思い出した。
「優は優しくて暖かかった」
そう、何もかも、暖かくあつかったのだ。
それに比べてこの家は空っぽで冷たい。
「まるで箱に閉じ込められたシンデレラのネズミだわ。猫にバリバリ食べられることも、シンデレラの手助けをすることもなく朽ちていくネズミ」
ほたりと頬を涙が伝う。
「優・・・会いたいよ」
最初のコメントを投稿しよう!