日常

7/11

293人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
戻ってきた太一が手にしていたのは香りの良い紅茶だった。 「舞花の好みに甘めに作ってあるから、これを飲んでリラックスしたらいいよ」 私は突然の献身に戸惑ったが、親切でしてくれていることをはねのける気力もなく、紅茶を一口すする。 「あ、おいしい」 それは私好みの甘みで冷えた身体にじんわりしみる味だった。 「ふふ、太一ありがとうあったかいよ」 そう言ってごくごくと飲み干し、カップを片付けに行こうとすると、太一にカップを奪われてしまった。 「片付けに行かないと」 「そんなの後でいい。今は舞花がほしいんだ」 驚いた。だって2年間も何もなかったのに。 もしかして、子供がほしくなったのか。 私は少し期待に胸をふくらませながら問いかけた。 「もしかして、太一も子供がほしくなったの?」 「いや。子供がいたら優の生活が制限されてしまうだろう?必要ない」 そう言い切ると太一はひざまずいて私の足を手に取り、おもむろに指先を1本1本なめ始めた。 「太一!やめて、きたないよ」 「お風呂に入ったんだろう?だったら大丈夫だよ」 そう言うと、最初は右足、次は左足の指を赤ちゃんのようにしゃぶり、それが終わると舌をふくらはぎにそって舐めあげた。 「んん・・・やあ、お願いだからやめて」 太一の頭を押しかえして抵抗するが、びくともしない。 太一は両足をたっぷり舐めた後今度は太ももの内側を舐め始めた。 息が私の一番弱いところにかかる度に、嫌だと思いつつも身体が跳ね上がる。 「いつの間にこんなに感じやすくなったの?まさか一人でしていないよね?」 「いや、どうしてそんなこと聞くの。意地悪はもうやめ・・・」 やめてと言おうとしたときだった。 ぐるん 急に世界が回った。 「え、なに」 そこで私の意識は途絶えた。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

293人が本棚に入れています
本棚に追加