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「なんだかすっきりしたあ。凄く熟睡できたからなか?」
気がつくと朝の6時。
私はあの後夢も見ずに眠ってしまっていたようだ。
「久しぶりの労働と・・・優とのことで疲れていたのかな」
すっきりした身体と頭で私は昨日のことを思い出す。
「信じられない、本当にしちゃったんだ。私」
今でも忘れられない、優の肌。
「バイト、急いで支度しないと間に合わない」
いろんな雑念を振り払うように起き上がり、バイトにちょうどいいブラウスとパンツを出して着替えた。モスグリーンのチェックのシャツにうすいベージュの綿パンツ。
「足下はローファーにしようかな。」
私はウキウキしながら化粧をして、朝食を食べ、家を出た。
太一は置き手紙で「仕事で早出する」と書かれていたから顔を合わさずにすんでほっとした。
「ああ、もう、今日はどんな顔して優・・・黒川さんに接したらいいんだろう」
藤中さんが長年片思いをしていて、邪魔者は排除するタイプみたいだし、そもそも不倫だから隠さなくちゃいけないんだけど、うまく出来る自信がなかった。
「うう~頑張れ私、心頭滅却だよ」
「仏門にでも入るんですか?」
信号待ちの交差点。後ろから突然話しかけられて
私はマンガみたいに飛び上がってしまった。
「あ・・・ゆ・・・黒川さん、おはようございます。」
「優でいいのに。いや、駄目か、駄目だな。うん。おはよう」
優は私と同じことを考えたのかすぐに納得してくれた。
「一緒に出勤しようか美咲さん」
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