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「やめて・・・今ご飯の準備をしているから」
「そんなの後でいい。今は舞花のこと抱きしめていたいんだ」
太一はそう言うと私の身体を服の上からなで始めた
(いや・・・触らないで。)
私は力一杯優を押しのけて太一をキッとにらみつけた。
「私はずっとずっと一人に耐えてきたの。なんで今更私にかまうの!?太一は身勝手すぎるよ」
「仕事が忙しかったんだ。仕方ないだろう。お前は俺に養われているんだから、それくらい理解しろよ」
悔しかった。たしかに私は自分で生きる術を持っていなかったから。
でももう違う。少しずつだけど前進しているんだ。
「私は変わったの。これからは自立しようと思っている。」
「お前は何も分かっていないな、花屋のバイトくらいでいい気になるなよ。この生活レベルを保てなくなって、本当に耐えられるのか見物だな」
(くやしい・・・くやしい・・・)
私は太一の正論に対抗できなくて、くやしくて涙をこぼした。
「もういい・・・今日は飯はいらない」
太一は白けたとばかりにさっさと自分の部屋に戻ってしまった。
一人残されたキッチンで、私は泣き崩れた。
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