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ダン!!!
太一は机を力一杯たたきつけて、
手近にあったショートケーキを私の口元に押しつけた。
「たべろ」
冷たくそう言い放つと、もう片方の手で私の口をこじ開けて、
ぐちゃぐちゃになったショートケーキをねじ込む。
「う・・・げほ・・・やめて」
私は苦しくてむせてしまった。
「あああああ、こんなに汚して悪い子だ。なめて綺麗にしなさい」
そう言うと私の髪の毛をわしづかみにして、どろどろになったテーブルに押しつけた。
「なめろ」
冷たく言い放つ太一が恐ろしくて、私は震えながら机についたクリームをなめた。
「いいこ・・・いいこだね」
とびきり甘く優しい声音で太一はささやく。
「ごめんなさい、食べるから、全部食べるから、許して」
「どうしてそんなにおびえているんだい?やっぱり全部食べたかったんね。いい子、沢山おたべ」
太一は優しくささやく、でもその顔はなにもうつしていない。無の表情だった。
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