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私は吐き気を押さえてケーキを口にほおりこむ。
その作業を太一は優しい微笑みを浮かべて見ていた。
「うっ・・・太一、私もう・・・」
そう言った瞬間、太一から表情が消える。
無だ・・・
「もう食べられない?じゃあこのケーキは用済みだね」
そう言うと、残ったケーキの箱をつかむと、ゴミ箱にほおりこんでしまった。
「太一!!もったいないよ、捨てるなんて」
「だっていらないんだろ?舞花がいらないなら、このケーキの存在価値なんてないんだ」
うつろな目でゴミ箱のケーキを見据える太一
(怖い・・・助けて・・・優!)
私は震えながらその様子を見ていた。
(逃げなきゃ・・・太一は普通じゃない。鞄は、私の部屋、そっと取りに行って、全速力で外へ逃げたら・・・あとは優のところに)
そこまで考え時だった。
太一は私の目前まで来て私を見下ろしていた・
「ひっ・・・た・・・いち」
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