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崩れ落ちる
「舞花・・・舞花・・・俺の可愛い舞花、どうして外に出るんだ?どうして離れて行こうとするんだ」
「太一、まって、カメラってどういうこと?」
「そのままの意味だ。この家の中はすべて、死角なくカメラを設置してあるんだよ。だからお前が何をしていてもいつも見守ってあげていたんだ。」
私はぞっとした。だって、死角なくって、まさか私の寝室やトイレ、お風呂にまで?
「全部だよ・・・お前のすべてが可愛いから、全部見ていた」
「いつからなの?」
私は震えながら問いただした。そうしないと正気を保てそうになかったから。
「舞花と結婚して、この家に住み始めた日から、全部記録してあるんだよ。そうだ、いい機会だね。俺の部屋をみたらきっと、舞花も俺の愛をわかってくれるかな。」
そう言うと太一は私の髪をぎゅうと引き上げると、無理矢理立たせて、手をつないだ。
「さあ、おいで」
そうして私は太一に手を引かれてまだ踏み入ったことのない彼の部屋に入った。
パチンと電源ボタンを押すと、そこには壁一面に私の写真が貼られ、ガラスケースには私の顔写真を貼り付けた人形がずらりと並んでいた。
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