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そうして私は丸裸にされて、足にはジャラリと鎖に繋がれて床に転がされた。
私はショックと恐怖で丸くなって震えるしかなく、
嗚咽しながらひたすらこの恐ろしい時間が過ぎるのを待っていた。
「さあ、いいこだね、これを履こうね」
とびきり優しく太一が言うものだから、もう許してくれたと思って私は太一を見上げたが、
能面のような表情で、口元だけが笑っている太一がそこにいた。
「はく・・・はきます。自分でやるから、ネグリジェも自分で、着ます」
ガクガクと震えが止まらないけど、これ以上太一に触れられたくなくて、太一からネグリジェと下着を受け取ると、震える指先に活をいれながら身につけた。
「太一、お願いがあるの。電話をさせて」
「それは許可できない。天使は外界の毒に弱いんだ。これからは携帯も没収する。ああ。仕事のことなら心配しなくていい。俺からやめることを伝えるからね」
(そんな・・・私は・・・一生ここで暮らすの?)
優との幸せな未来を思い描いていた私にとって、それは苦痛以外のなにものでもなかった。
「お願いします。電話だけは取り上げないで。太一の言うことなんでもきくから!」
「そのお願いは聞けない。舞花は俺だけの天使だから。声だって聞かせるなんてもったいない。心配しないで、俺は仕事も安定しているから、この先お金にも困らない。舞花のことを育てるのに心配なことは何もないんだよ。」
(だめ、話が通じない。今は、服がもらえただけでもありがたいと思わないと・・・)
優は完全に狂ってしまった。いや、もう長い間狂っていた。
私はそんなことも気付かずにこの人と一緒に暮らしていたのか。
腹が立った。
人権を踏みにじるような行為を平然とやってのけるこの人を好きになった自分に。
悔しかった。
この現状を一人では打破出来ないことが。
(優・・・優・・・私負けない)
私は心の中で微笑む優にそう誓った。
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