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翌朝(正確には眠っていないから今朝だけど)
太一は朝起き出すと朝食を二人分作り、テーブルに並べた。
ハムエッグにサラダ。トースト、フルーツと牛乳。
「おいしそうね、太一ありがとう」
本心からの言葉だった。
拘束された恐怖心はまだあったけど、私のために温かな食事を用意してくれるということは
私に少なからず愛情があるからだろうと思ったから。
「よかった。舞花に喜んでもらえたら作ったかいがあったよ」
そう言うと、ゴリゴリゴリとコーヒー豆を弾き始めた。
「コーヒー、豆から入れてくれるの?]
「もちろん。優はコーヒーにこだわりがあるだろう?せっかくだからおいしいもの飲んでほしくてね」
(コーヒー・・・こだわっていてよかった)
私と太一は温かな朝食を囲んで、微笑みあった。
まるで何も恐ろしいことがなかったかのように。
穏やかに。
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