花を貴方へ

光に向かう蝶

サンダルは店員に処分してもらい、パンプスを履くとまた駅に向かって歩き始めた。
その途中、ブライダル系のアクセサリーを扱っている店の前を通りがかったとき、優はふと足をとめた。

「優？急がないと・・・」

「ごめん、ここで指輪買っていかないか？」

私は驚いた。だって、ここは結婚指輪や婚約指輪を扱っているお店で、気軽に買える額の品物は扱っていない。

「でも・・・」

私が心配していることを察してか、「大丈夫だから」そう言って店に入ってしまったから、
私は素早く結婚指輪を外し、あとからついて入った。

「結婚指輪で、今すぐ持ち帰れるものを探しているのですが」

優がそう言うと、店員は人の良さそうな笑顔で、

「それでしたら、こちらは如何ですか？シンプルですが人気のある商品です」

そう言って一つの指輪を見せてくれた。

男性用はシンプルなプラチナ。女性用には小さなダイヤがちりばめてある。

「じゃあこれを、サイズを測って、包んでください」

「承知しました。こちらへどうぞ」

店員さんは手早く私と優の左手の薬指のサイズを測ると、商品をとりに店のおくへ消えた。

「本当にいいの？ここ、すごく高いお店だよ？」

「いいんだ。舞花が俺のものだっていう証がほしかったんだよ。この先なにがあっても一緒に生きていくっていう証が」