二人の道

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二人の道

タタンタタン 電車は夜闇の中を走っていく。もうすぐ終電の時間だ。 次の駅で降りたら、近くのホテルに泊まれるようにスマホで予約を取ってある。 「真っ暗だね、さっきまで都会にいたのに、嘘みたい」 「そうだね、東京から少し進んだだけでこんなに景色が変るなんて、不思議な感じがするね」 私と優は手をつないで座り、少しつかれたから、優の肩に頭をもたれかかって、ぼうと車窓の外の暗闇を眺めていた。 優も疲れが出たのだろう。さっきからしきりに欠伸をかみころしている。 二人とも今日の出来事に疲れ切っていた。 平穏な日常が崩れ去るのはあっという間。 優は私に巻き込まれてこんなところまできてしまったというのに、恨み言一つ言わない。 私はそれが嬉しくもあり、辛くもあった。 「優、指輪、つけてほしいな」 私は優におねだりする。 すこしでも、幸せな気持ちになりたかったから。 「そうだね、左手を出して」 そう言って私の左手をとると、少しへこんだ薬指の付け根をするりと指でなぞり、 「この跡がはやくきえればいいのに」 そうつぶやいた。 私は箱から優の指輪をとると、優の左手の薬指にはめた。 優も私の左手の薬指に指輪をはめてくれる。 「これで俺たちは魂の夫婦だね」 優はふふと笑って薬指の指輪にキスをした。 私は堪らなくなって、優の顔に手を添えて、激しくキスをする。 深く繋がる感覚が味わいたくて。 何度も角度を変えて口づけをつづけた。
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