293人が本棚に入れています
本棚に追加
新たな真実
私は夜中に携帯の着信音で目を覚ました。
寝ぼけていたため、すぐにとってしまったが、それがまずかった。非通知でかかってきたその電話は太一からのものだったのだ。
「舞花・・・おれだよ。今どこにいるかは聞かない。どうか電話を切らずに話を聞いてくれ」
必死に懇願する太一に私は通話を終了するボタンを押すことが出来なかった。
「お願い、もう放っておいて。私は優と一緒に生きていきたいの。」
電話の向こうから乾いた笑いが響く。
「へえ、優とね、黒川優がなんでお前に惹かれたのかわかるか?」
不思議なことを言う。一目惚れなんて、世間にはありふれていて特別珍しいことではない。
「俺は探偵に黒川優のことを調べさせた。お前の家族のこともね。優、お前の父親はお前が幼い頃に離婚していることを知っているか?」
「それは、私からも貴方にはなしたでしょう?それが一体どうしたの?」
私はいらいらしてきた。私を痛めつけただけでなく人のプライベートまで踏み荒らしてなんて酷い人なのだろう。
「お前は父親に引き取られ、義母に育てられた。じゃあお前の母親は?どうなったと思う?」
「それは、母とは連絡がとれなくなったと父から聞いているけど、それが私達とどう関係しているの?」
本当にこの男は人をいらだたせる天才だ。はやく通話を終わらせたいのに、どうしてもそれができなかった。それはきっと少しある罪悪感からだ。
「ふふ、お前の母親はね、別の男と逃げたんだよ。そいつの名前は黒川 透。黒川 優の父親だ」
最初のコメントを投稿しよう!