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「え・・・優の父親が私の母と逃げた?」
私は衝撃をうけた。まさかそんなところで優とのつながりがあるなんて、思いもしなかったから。
「黒川がお前を見て一目惚れしたのは親の面影があったからだ。ここまで話せば分かるだろう?お前と、黒川優は異父姉弟なんだよ!」
異父姉弟?頭がついていかない。私と優が?姉と弟?
「ははは、残念だったなあ。せっかく逃げたのにこんなことが分かってしまって。もう一緒にいられないだろう?俺だったらお前の全てを受け入れてあげられるから、戻っておいで」
手が震える。何も考えられなかった。でも、そんな事実が分かっても、私は優から離れることを考えられなくて。
その時だ。後ろから手が伸びてきて優が通話終了ボタンを押した。
「え・・・聞いてたの?」
優は泣きそうな顔で私を見ると強く抱きしめてくれた。まるで私がどこかに行ってしまうのを心配するかのように。強く強く抱きしめる。
「知ってしまったんだね・・・」
優は悲しそうに私を見た。
(知ってしまった?どういうこと?優はもうそのことを知っていたというの?)
私は混乱した。
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