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過去を視る「澪《死翠》」
あたしは全員が直接テーブル触れないようにとビニールを広げていた。
その上で煙草の箱を眺めていたが、違和感を覚えた。
奇妙な位置に針で刺した跡のような穴が空いている。
それに気づくと、唐突に言葉を紡いだ。
『Master、頼みたい事がある』
「どうした?蒼焔」
『死翠を出して欲しい。何かが分かると思うんだ』
「ここには奴等はいないのよ?Pawnからも盗聴機や小型カメラはなかったって言ってるのに…」
『小型カメラはあったよ。今はないけど』
「蒼焔、カメラがあっただって?」
『この煙草の箱の中にな。残念だがカメラは持ち去られている』
そう言うと煙草の箱を置く。Kingが手に取ると、確かに小さな穴を見つけた。
「ピンホールカメラの応用か…でもどうして死翠を出す必要がある?」
『未来予測が出来るなら過去も視れるはず…』
「だけどそれって、お前の身体に負担が掛かるんじゃ…」
「何度も人格交代をしたら、身体に負荷がかかるのは確かね。それでもやるの?」
『他に方法がある?あるならそれが1番良いよ。でも、この部屋には監視カメラがない。あっても機能してなかったんだ』
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