過去を視る「澪《死翠》」

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ゆっくりと紫煙を吐きながら暁を見つめる。目はずっと泳ぎっぱなしで、時折下を向く。 暁のポケットに入ったスマホがサイレントモードで鳴っている事も確認できた。多分電話の相手は凪斗だろう。 サングラス越しに目を閉じて首を振るあたしを見て、Kingは何かを察したらしい。 「分かった。暁、もう下がっていいぞ。明日からは何があってもモニタリングをしておけ。 あと、真凜はしばらくこちらで預かる。良いな。奴等が来た時に聞かれたら「実家で不幸があったらしくて帰っている」とでも言っておけ」 「畏まりました、風雅様。では失礼致します」 そう言うと暁は足早に部屋を後にした。暁が離れたのを確認するとあたしはスマホにある文字を打って全員に見せる。それを見た夜叉が呟く。 「お前何で喧嘩吹っかけてんだよ、澪…」 『まだ気が付かないか?俺以外にマスクをしていないあいつが、どうしてこの部屋で平気でいられるんだよ…』 その言葉にRookが目を見開いて呟く。 「そう言えば…この部屋はまだ片づけていない。つまり薬が充満しているって事よね」 『俺言ったよな?「ここに来る時にマスクをして来い」って。あいつは何でマスクをしてないんだよ、変だろ? でも、そんなのは簡単だ。マスクをしていないと言う事はこの薬に耐性があるか、もしくは過去に同じ麻薬を使ってるって事だよ』 「それってまさか…」 『暁は凪斗達に金や薬で買収されてる。しかもヘルプの女は凪斗の手下だ。3日に1回のアフターはカムフラージュ。女は毎日、凪斗に報告してるよ。 モニタリングしないもの、そういう理由だ。しかも万が一ばれて解雇されたら、次は凪斗の所に転がり込むって計画みたいだな』
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