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「この魔法のペンダント……。これは一体何なんだ……?
俺は天帝の塔のクリア者で、転生者だった……」
「お、おい。ウェイド。一体どうした?」
心配するマスターをよそに、俺は魔法のペンダントを眺め見る。
転生する直前の記憶があやふやだが、すべてを思い出した。
俺が古代の時代、天帝の塔の最上階を攻略していた時。
俺の恋人でパーティーメンバーだったサラが、これとまったく同じ魔法のペンダントをつけていた。
間違いない。天帝の塔をクリアする時、たしかにサラがこれを俺に贈ってくれた。
そして、俺の頭の中に突如として、女の叫び声が聞こえた。
――お願い、ウェイド! 天帝の塔最上階にある、アルテミラの扉の封印を開放して!
その声と同時に俺は、冒険者たちが鎖の牢獄に囚われているイメージが頭に思い浮かんだ。
この声は……もしかして、サラなんだろうか……?
サラの声はとても懐かしい声で、ひどく信頼できる言葉だった。
アルテミラの扉……。
アルテミラとは、古代語で月の女神の名を冠する言葉だ。
転生魔法を司るとも言われている。
「アルテミラの扉……。それが、天帝の塔の最上階にある」
それが、届いた声と俺の転生の謎を解く鍵になるだろう。
転生する直前の記憶だけが、すっぽり抜け落ちている。
天帝の塔の最上階で、何か重大なことが起こったはずだった。
行くしかない。天帝の塔を、最後までクリアして、あの声の主に会いに行くんだ。
俺はその場で、決意を新たにした。
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