第1話:追放

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 そんな、本当の仲間が手に入ると思って、苦心して入った『ソウルブレイズ』は、そんなに甘いものではなかった。  戦闘で使えなければ反省会でこき下ろされるし、改善点・目標は常に高くもっていないとついていけないし、ダンジョン攻略での失態も厳しく叱責される。  仲間内では常にギリギリの緊張感を保ってギスギスしているし、ダンジョン攻略の上がりをめぐって資金分配のトラブルも後を絶えない。  陣地築城や野営の準備でも、ミスすれば怒鳴られた。  入る前の理想の仲間だったイメージと、入ってからの実態が、このパーティーは180度異なっていた。  だから、悔しいという思いよりも、ダメだったかという落胆が大きかった。  才能がなかったのかもしれない。  努力じゃ、太刀打ちできなかったのか。  こうして俺は、Sランクパーティー『ソウルブレイズ』を、使えないからと解雇された。  こういう話は、噂好きの冒険者の中ですぐに回る。  俺は「あいつって、使えないヤツだよ」とギルドでも話題になって、他のパーティーも拾ってくれなくなった。
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