第1話:追放

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「ちくしょー」 「ウェイド……もうやけ酒はそのぐらいにしておいたらどうだ?」  木製のジョッキで蜂蜜酒(ミード)を飲む俺に、冒険者ギルド併設の酒場のマスターが呆れた表情を浮かべた。 「これが飲まずにはいられるかってんだ! マスター、もう一杯!」 「飲むのは百歩譲るにしても、金はあるのかよ……」  小言を呟きながらも、マスターは新しい蜂蜜酒をジョッキに注いだ。 「ういー」  その蜂蜜酒を、俺は一気呵成に喉の奥へと流し込んだ。  荒れる俺の様子を見て、スキンヘッドのおっさんマスターは苦言を呈す。 「ウェイド。そろそろ新しい仕事でも見つけたらどうだ?  別にSランクパーティーじゃなくたって、他の雇い手はたくさんあるだろう」 「……だったんだよ」 「あ?」 「憧れ、だったんだよ。あのパーティー(ソウルブレイズ)」 「…………そうか」  長い無言の後の相槌を、俺は「話の続きを聞かせろ」という意味だと、受け取った。  蜂蜜酒の入ったジョッキを置いて、続ける。 「俺が小さい頃から、カッコ良くてさ。  ダンジョン攻略は常に最前線を走ってるし、どんな冒険者でも敵わない。  冒険者の都市アインで、最強無敵のSランクパーティー」 「…………」  俺の言葉を、マスターは他の客が飲み終えたジョッキを洗いながら聞いていた。
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