第1話:追放

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 そんな俺に対し、マスターは木製のジョッキに新しい蜂蜜酒を無言で注いでくれた。 「……これ飲んだら、もう帰れ。今日の酒代はいいから」 「……あぁ。いつもすまん」  はぁーっ……、終わったのか。  冒険者として夢見てきたすべてのことが、ここで終わったんだ。  俺は甘くてほろ酔いできる蜂蜜酒をグイグイ飲んだ。 「ぷはぁーっ、美味かった。サンキュ、マスター。  話聞いてくれて、助かった」 「いつでも来い。ただし、酒代を持つのは今日限りだ」 「おう」  それじゃ、と席を立とうとしたところで、やっと気づいた。  離れたカウンターに座っていたローブの女が、こちらをじっと見ていることに。  ローブのフードを目深にかぶった奥に、綺麗な碧眼(へきがん)が見えた。  流れるような金沙(きんさ)の髪が、立ち上がる動作にしたがってさらりと流れ落ちる。 「冒険者の、ウェイドくん?」 「あ、あぁ……そうだが?」 「良かった。ずっと探してて、話せる時を待ってたんだ」  にっこり微笑んで、その女は言った。 「俺になんか用か?  お前も冒険者なら、俺の噂ぐらい聞いたことあるだろ」 「そんなの関係ない。私はキミに、依頼をしに来たんだ」  小さな胸を誇って、女は言った。 「私はミレニス。  私と一緒に、パーティーを組んでくれない?」 「……はぁ? 俺にパーティー申請だぁ?  何が目的だ。『ソウルブレイズ』を蹴られた直後だぞ。  ギルドの奴らみんな、俺と関わりになりたがらない」
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