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人としての存在を失い、俺達警察が「邪鬼」と呼ぶモノに変わってしまった奴を完全に機能停止させる方法がある
かつてソイツの心臓であったモノ、今ソイツの原動力となっている「目玉」と呼ばれる核を破壊すれば良い
だが核である「目玉」は邪鬼によってどこにあるのか判らない
唯一、捕食や攻撃の際、カラダを覆う闇の中からわずかに露出する
その瞬間を狙うのだ
胸ポケットから手帳を取り出す
これは俺が愛用している式神だ
邪鬼の足元にある結界陣へ、鳥形に姿を変えた式神を飛ばす
10秒と経たずに結界がほつれていく
「ホラホラ、ツノ出せ、ヤリ出せ」
動きを止めていた邪鬼が少しずつ左右にユラユラ揺れ始めた
カラダから放出する黒い霧とともに、ドス黒い突起物や手足に似たナニかがメキメキと不気味な音を立てて生えてきた
途端、邪鬼の突起物が伸び、素早い動きで小僧に狙いを定め攻撃してきた
慌てて三枚の式神を小僧の方に飛ばす
軽い結界だが 1、2分は持つだろう
気を抜いてる暇はない
すぐさま俺の方にも攻撃をしてきた
ギリギリのところで避ける
「教えてくれ、お前の目玉は何処にある」
カタチを変質させながら暴れ始めた邪鬼の下腹部辺りに、ギョロッと血走った赤い目玉が一瞬見える
「クソ、微妙に狙い辛ぇトコに付いてやがる」
邪鬼の元々顔だった箇所、目や鼻、口といった穴という穴から俺の方めがけて黒いトゲを出してきた
屈んで避けようとするが肩を少しかすっちまったようだ
瞬間、激痛が走る
だが今度は逃さない
俺はしっかりとヤツの目玉と目を合わせていた
拳銃の引き金を弾く
地下道に響き渡る銃声、弾丸がヤツの目玉を貫く
耳を引き裂くような奇声を上げながら、邪鬼のカラダは人に近いカタチへと戻っていく
・・・気づくとそこには少女のカタチをした黒い消し炭のようなモノが転がっていた
負傷した肩を抑えながら立ち上がり、後ろで腰を抜かしている小僧へ歩み寄る
「終わったぞ、新人」
「い、泉さん・・・ああ、ああ、け、結界、ありが、ありがとうございました・・・」
「あとは桜田門から本庁の壱係が来る、ちゃんと封印まで見届けろよ」
これだから現場はキツイ
相棒が生きてりゃもうちっとマシなんだが・・・
一息ついたその時だった
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