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死神は背筋を正して言う。
「私、心配性の死神なんです……。今から魂を回収する人のことを下調べしないと不安で夜も眠れなくて」
「人の安眠を妨害しておいて良くそんなことが言えるな!」
俺は枕元に戻したスマートフォンをもう一度手に取った。
「……通報してやる」
「まままままま待って下さい! そんなに怒らないで!」
「うるさい。俺の貴重な時間を返せ!」
「な、何でも言うこと聞きますから!」
「……じゃあ、寿命のばして」
「そういうことは出来かねます」
「……」
俺はスマートフォンの電源を入れた。
「ひいい! ごめんなさいごめんなさい!」
深夜二時過ぎ。
アパートの一室に死神の悲鳴が響き渡った。
この後、恐ろしい形相の死神の上司が現れて、泣いて謝り続ける死神を回収していったのは、また別の話だ。
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