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陽が落ちると途端に気温が下がるのか、ホームにはカーティガンを羽織っている女性が多く見受けられた。
辺りはすっかり暗くなり、それもあって夏ももう終わりなんだなと実感する。そして、これから訪れる寒い冬を思いげんなりした。
「あ」
時弥はふと、昨日は十五夜だったなと思い起こす。
じゃあ今日は──
「十六夜だ」
そのつぶやきに促され、杜斗はホームの屋根越しに夕空を仰いだ。
「綺麗だな」
「うん、明日は雨だね」
赤い月に余計なひと言を乗せた。
終
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